●22話

 ・・第二章・・

 

 香徳での新学期が始まった。
 すべてが初めての美咲だったが、竹林達がいるおかげで、とても快適にすごせる毎日を送ることができた。
 そんな中で、青木だけは、相変わらず美咲のことを、警戒心のある視線で見つめてくる。
 警戒しながらも、興味は感じるらしい。さりげなく以前のように『車椅子の子だね。』のような質問してきて、美咲をギクリとさせる。
 入学式の日に感じた情緒不安定な様子の竹林は、あの時だけの事で、体を動かしたら落ち着いたようだった。
 寮に戻ってきた時には、元の彼に戻っていた。
 竹林は、キックボクシング部に所属していると言った通り、学校が終わっていくらかしないうちにも、部活に直行して、夕飯頃まで帰ってこない。
 食後に、美咲とともに風呂に入り、そのあとは寝るまで勉強していた。
 朝も、日が昇る前には起きていて、朝練にでかけていていない。
 努力家なんだと思う。
 なんとなく、一心不乱に精進している感じが、耕太郎を連想させられて、陰ながら応援したくなる気持ちになるのだった。
 そんな忙しい時間の合間にも、竹林は彼の優しい心遣いを見せてくれる。
 美咲も竹林と同じように、勉強をするのだったが、元々勉強なんてする習慣なんてなかったせいか、すぐにも飽きてしまう。
 学校が終わった後の、ちょっとした時間は、青木と篠山と共に、例の場所に集まるのが、いつの間にか習慣になっていた。
 時間を見つけて、竹林も例の場所にやってきた。
 

 ・・・竹林達とも出会い、学校を変えてよかったと、美咲は思うのである。
 香徳での忙しい時間が、耕太郎への想いをゆったりと薄めていってくれた。
 男性の体を借りた自分自身を、イヤになるような思いをさせる女子の姿もない。
 極めて穏やかな学園生活を、満喫する美咲なのだった。


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