●11話
・・第一章・・
寮を出ると、同じように真新しい制服を着用した生徒達が、ぞろぞろと同じ方向に向かっている。その集団に紛れて歩いていると、
「竹林!」
明るい声がかかった。振り返ると、背の高い優しげな雰囲気の生徒が、小走りに走ってくる。
「よう。」
竹林も目を細めて答えて、三人横並びになり、
「クラスの振り分け。見たか?」
と、聞いてくるのを、竹林は首を振って
「いや。見てない。」
と答える。
「俺達、高校に入ってからも一緒だぜ。竹林と篠山と俺。」
と言ってくるのを、竹林は美咲にチラリと視線をやり、
「青木っていうんだ。中学からの腐れ縁。」
と説明してくる。それでやっと美咲に気づいた青木に
「こいつ、河田凉。部屋が同室なんだ。」
と、間髪いれずに説明する。
「はじめまして・・・。」
最後まで自己紹介できなかった。
なぜなら美咲を目にとめた青木が、みるみる顔を青ざめさせたのだ。
そしてグラリと体をかしげさせると、倒れてしまったのである。
「青木!」
びっくりした竹林が、青木の体を抱えて、すぐにも意識を取り戻すも顔色が青い。
二人は保健室に行くと言い。
「体育館の場所はわかるよな。」
と、切羽詰まった様子の竹林に言われて美咲は
「チラシを見たし、みんな同じ方向に向かっているから大丈夫。」
と、うなずくのだった。
美咲は、青木の事が心配ながらも、彼らを残して人波に紛れてゆくのだった。
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