前篇『失くした鍵』のあらすじ

●壊れた約束●・・・前篇『失くした鍵』の簡単なあらすじ

 
 「代わってあげようか?」
 心肺停止の状態の、自分の体を見降ろしていた美咲に、畳みかけられた言葉だった。
 まるで幽体離脱の様な環境下で、側に少年が立っていた.
 その彼の口から発せられた言葉に、うなずいてしまう。
 美咲に出された条件は、
 「身代わりになる俺が、死を選ぶ原因を詮索しない事。」と、「恋人を作らない事」
 それを呑んで、彼と契約を交わした美咲は、河田凉(かわだ りょう)をして生き始める。
 
 意識を取り戻した彼女(=外見は河田凉)の足は不自由だった。
 車椅子生活がまっていたのだが、これ以上ないくらいな贅沢な環境の中で不自由はだいぶと緩和された。
 河田家の面々。環境をみるにつけ、かつての河田凉の寂しい人生が見えてくる。
 詮索してはならない。という約束を守る彼女だったが、とうとう事情を知る従兄弟の耕太郎に問いただしてしまう。
 謎を解明してしまった美咲に残された約束は、あと一つ。
 「恋人を作らない事」
 
 同時に、カウントダウンが始まったかのような、『10』のデジタルな数字が浮かび上がっていた。
 耕太郎への思慕の念を捨てきれない美咲は、彼から逃げるように寮のある香徳大付属高校を受験して、見事合格を勝ち取ったのだった。

・・・『壊れた約束』は、香徳大付属高校の寮に入るシーンから始まります。

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